臨床医・臨床家のためのMEDLINE PubMed検索

このセッションの目的
現場での臨床判断を安全で有効なものにするために、診断・予後・治療効果・副作用のリスクなどを見積もるために必要な医療情報を得る手段の1つとして、PubMedの検索方法のポイントを身に付ける。
 
このセッションの目標

  • PubMedで、History画面を活用した検索方法を行うことができる。
  • PubMedで、Clinical Queryを利用して検索を行うことができる。
  • PubMedで、related articleを利用することができる
  • PubMed検索の時に、質の高い情報を得るためのキーワードをいくつか挙げることができる。
  • PubMed以外の無料で利用可能なデータベースのうち自分に合ったものを挙げることができる。

 
上級編(今回は扱わない、でも重要な方法)

  • MeSH Browserを使って検索式を立てることができる
  • PubMedで自分が検索しえた文献につけられたキーワードを確認することができる
  • My NCBIを活用することができる

  

さあ、検索しましょう、、、、  ちょっとその前に!droppedImage
 
ポイント1 検索する前にしっかり絞り込む:まず本当に検索する価値のある重要ものかどうかを考える必要がある。
いきなり検索にはいるよりも、今取り組もうとしている課題を明確にする・具体化する一手間をかけよう。
特に始めのうちは、検索する前に、本当に検索が必要なのか、もっと楽な方法はないのか考えよう。
次に、1)どのデータベースで検索するか(
情報源の特徴をふまえる) 2)どのようなキーワードで検索するか(検索式を整理する) 3)得られた情報をどのような方針で絞って行くか(検索を行う) の3点について考えよう。
さらに、便利な
情報提供サービスを利用するのも重要です

ポイント:利用するデータベースのタイプを念頭に置きましょう。に登録されている情報の質が高ければ、「質の高い情報に絞る」手順は不要になります
PubMedGoogleのように、質の高い情報に絞らず網羅的なデータベースの場合に「質の高い情報に絞る」手順・キーワードが重要になります

治療・予防・指導の目的は何?

 
治療の目的を考えてみましょう。
たとえば、以下のような病気・障害に対する「治療(あるいは医療)」の目的とは何でしょうか。
さて、私たちが医療や保健に関わることの目的は何でしょうか
 
私たちは、いろんな人たちに関わっています
その人たちに、何をすることができるのでしょうか
何を期待されているのでしょうか

 
「目的」を考えるポイント
 

「私たちに何ができるか」にすぐ考えを進めないで、まず、、、
対象者や社会が何を望んでいるか。あるいは避けたいと思っているか。私たちに何を期待しているのか、を考えましょう。

なるべく、重要なもの、切実なものを考えて下さい。

 
でも、決して対象者や社会の要請に一方的に応えればよいのではありません。
私たちは、実際に多くの事例や状況に立ち会い取り組む中で、どんな問題が起こりやすいか、どんなことが負担になるか、どんなことが助けになるか、どうやって問題を解決したり乗り越えたり回避したりするか、を知っています。そのことが、そのまま専門職としての価値であり強さであり能力を支える基盤なのです。

 
もしかすると、以下のような治療の目的の分類で、考えを整理できるかもしれません。
医学の教科書に書いてある治療の目的7つ
(Sackett, DL, et al; Clinical epidemiology. (2nd ed.) Little, Brown Company, 1991)

1. 治癒(病原菌の除去、腫瘍の完全な摘出など)
2. 再発防止(リュウマチ熱後の抗生剤の投与、痙攣発作に対する抗痙攣剤の投与など)
3. 機能障害の対策(リハビリ、形成手術など)
4. 合併症の予防(無症状の高血圧への降圧剤の投与、心房細動患者への抗凝固療法など)
5. 現在の症状の改善(ホルモン療法、鎮痛剤の投与、抗不安薬の投与など)
6. 疑念や心配を晴らす(誤診を明らかにする、予後について話し合うなど)
7. 苦痛のない尊厳のある死を迎える(診断的処置をやめ、痛みの除去に重点を変える、患者の自尊心を尊重するなど)

 

参考:疾患の転帰を考えるときのヒント「病気の転帰6つのD」(ロバート・フレッチャーら著 福井次矢監訳「臨床疫学」メディカルサイエンスインターナショナル1999年 5ページ表1-2をもとに作成)

Death: 死亡

早すぎる死は、通常好ましくない
Disease: 疾患・合併症
その疾患の症状、身体徴候、検査の異常値、さらにその疾患に伴う合併症の発生など
Discomfort: 不快・苦しみ
痛み、吐き気、呼吸困難、倦怠感、かゆみ、耳鳴り、めまいなどの症状
Disability: 機能障害
家庭生活や仕事、レクリエーションなどでの活動制限、能力制限
Dissatisfaction: 不満
悲しみや怒りなど、疾患やそのケアに対する感情的反応
Destitution: 貧困
疾患のケアに対する直接的出費や間接的経費、さらに疾患による収入減などによる経済的困難・困窮


まず、情報源・データベースの特徴をふまえておきましょう→Haynesの5Sモデル情報源の種類と特徴