解決のための手段を提案し、必要に応じてその判断の手順や根拠を、対象者や現場、その他のチームメンバーに提示し説明することができる

ポイント:
問題解決のための具体的な判断や行動、予後説明などについて研修医が自分の判断を述べられるようにする。さらに、その判断がどのような効果や結果をもたらすと予測したか、その予測はどのような情報によっているかを説明できるように指導する。
なぜ?:
まず、解決のための手段を自ら判断した内容を発表する経験をさせる。医師として成長する中で、必ず自分が大きな責任を負った状態で判断をしなければならない段階がやってくる。それを研修医にイメージさせることがまず重要である。さらに、その判断を指導される立場のうちに経験し修正したり改善したりする経験をさせることの意義は大きい。研修医にとってみれば自分の知識や能力を試す機会となり、それが直接現場に反映されないリスクの少ない状況でチェックされることの安心感もそなわる。指導する側にとっては、研修医の知識や技能、態度などを確認する機会になる。研修が進む中で、その判断や行動がどのような効果・結果が期待できると予測しているかも確認し、その根拠の内容、必要な技術・態度まで議論することができるようになる。研修医の指導・評価の機会として活かされる。
指導のポイント:
たとえばベッドサイドで輸液製剤や抗菌薬、降圧剤や強心剤などを決める場合に、指導する側がすべて指示をするのではなく、研修医に何を選択するかを尋ねることから始める。その上で、それはどうしてかを確認する。その上で、指導する側が自分の判断を提示しどうしてかを説明する。このような機会を設定するだけで研修医は単に上級医の指示をそのまま行うのではなく、自分で判断する機会を与えられることになる。診断を題材にするのであれば、診察に当たってインタビュー内容や身体所見などをどう解釈するかをしゃべらせ、診察を一通りすませたあとでさらにどのような追加の質問や身体所見をとるかを研修医の考えを確認する。予後の説明については、その説明が患者・当事者・家族などにとってどのような意味を持つか、どのような点を強調すべきか、どのような誤解を避けるように注意すべきか、言葉遣いや態度などでどのような点に気をつけるべきか、研修医の意見を述べさせる。
これらの作業を口頭で行うのは時間がかかり現場での診療を遅らせてしまう懸念が生じるかもしれない。これを軽減する方法として、簡単なレポートを書かせるという方法もある。「このような症例の場合、どのような抗菌剤を選択するか簡単にまとめて明日説明するように」と、指示を与えて事前に形式を定めたレポートを記入して持参させる。こうすると、指導する側の時間は節約でき、研修医は自分が使い慣れた情報源を調べる時間が与えられるというお互いの利点がある。さらに、それを確認しながら指導を行うと、指導そのものが具体的になり指導内容が記録に残るのでその後の検証も容易になるという利点も大きい。
研修が進み臨床能力が高まってくれば、実際の患者に対して判断を行う機会も増える。このときにも、このようなトレーニングを行っておけばその判断内容の提示や共有がスムースに行える。