課題解決の取り組みの結果を、自己評価および第三者評価によって振り返り、手順の改善に活かすことができる

ポイント:
課題解決に向けた取り組みの結果を確認する姿勢を身につけさせる。その結果を取り組みの振り返りと共に評価することが、手順の改善につなげられることを教える。
なぜ?:
課題解決のために、治療や検査、予後の説明などを行った場合、その結果がはっきりするためには時間を要することが多い。このことが、初心者の理解を惑わせる危険性がある。短期的には検査結果を改善するものの、長期的な予後を悪化させる治療法を選択するというのはよく知られた誤りである。これに限らず、予後の説明でその場しのぎの言葉で片づけようとして、かえって患者に誤解を与えその対応で苦労することになったりする場合もある。検査結果の解釈で診断をつけても、その後そのほかの診断が確定されることもある。これらのことを上手に拾い上げ研修医にフィードバックすれば、現場での判断の結果を追跡し振り返る重要性を自覚する機会になる。この自覚が継続的に自己の判断を振り返りそれに基づいて自己研鑽する態度を獲得することにつなげられるだろう。
どこが難しいか:
自分の判断の結果を振り返るのは容易ではない。さまざまな思いこみや理由付けがじゃまをする。また、その判断の現場にいなかったものに、リスクのない状態で自分の判断を評価されると強いとまどいを感じる。このことをわかっているので、人の判断を評価することが躊躇される。このような障害を念頭に置いて、どう自分自身の問題解決を振り返り吟味し自己研鑽に活かすかをまとめる必要がある。
指導のポイント:
研修医にとって受け入れやすいのは、指導医が自分の判断を振り返り、手順の改善に活かすところを見せることである。経過を振り返り、その場で考慮した他の検査や治療に関する選択肢、そのときの予後の予測などを振り返り、その上で実際の患者がどう経過したかを振り返るところを見せればとてもよい教材になる。
しかし、現在のローテート研修では十分時間がなく振り返る手順がとりにくい。研修期間中に振り返りを促す機会を設定する方法がある。たとえば、救急外来で診療にあたった患者について事後報告をさせたり、麻酔科研修で麻酔をかけた患者の術後レポートを提出させたり、入院期間中に受け持った患者が再診する外来を見学させるなどが考えられる。また、確定診断や治療が困難であった症例を受け持った場合にその経過を振り返り、どのような手順でこの確定診断に至ったか、治療法が選択されたかを確認するのが一つの機会となる。このときには、経過の中で初期には確定診断がつけにくいほど一般的な症状しか呈さないことが多いことや、とりあえず頻度の高い疾患を想定して危険性の少ない治療から開始するといった判断が行われることも伝えつつ、経過の中での診断の訂正や治療方針の変更は、認められないほど深刻な誤謬を含んでいない限り容認されることを確認することが重要になる。このような自己訂正する姿勢が重要であり、それが自己研鑽にもつながる。