課題の解決に必要な情報や要因を列挙し、足りないものを集めることができる。

ポイント:
課題の解決に向けて、なるべく安全で有用性の高い方策を選択するために情報が必要になる。ここでの情報を「医学情報」や「研究結果」といった狭い範囲にとどめる必要はない。特に初期研修においては、解決のために必要と思える情報を積極的に集める姿勢を身につける機会と考えて指導する。たとえば、患者から情報や意見を聞き出したり、その医療機関での担当部署や専門家に問い合わせたりすることが重要な場合もある。ここでは、このような情報収集も含めた方がよい。
なぜ?:
課題が具体的にまとめられれば、その解決のためにどのような情報が必要か明確になる。そこで必要になるのは必ずしも研究結果ばかりではない。薬物治療を例に挙げると、具体的な投与量を決めたりや投与計画を立てるためには、治療内容を具体的に知る必要がある。また、危険性の高い薬剤については医療機関の手続きやルールを知る必要がある。さらに、患者が何を望んでいるかをわきまえることも重要となる。その上で、治療効果がどの程度と期待されるか実証的な研究で確かめられていればその結果を知る必要がある。このような多様な情報を収集しそれを整理し実際の問題解決に活かすことが、安全で有用な判断につながることを経験させる。このようなことを経験し、問題解決のために情報を収集し活用する態度が身につけられれば、担当患者が疾患として典型的ではなかったり、有効性の高い治療をさけなければならない事情があったりした場合であっても、安全性や有効性を考慮した解決策を提示する姿勢が身につけられる。
どこが難しいか:
研修医は卒前教育において「○○という疾患には××という治療を行う」「□□という疾患では、△△という検査が陽性になる」といった知識を身に付けている。しかし、現実にはそのような知識だけでは解決にはつながらない。ここをまず確認しなければならない。具体的には以下のようなことを確認する。
第一選択の治療ができなかったり拒否された場合、代替え案を提示しなければならない
同じ検査結果であっても、患者の年齢や性別、背景や症状によって全く解釈が異なることがある
合併症や治療に伴う手間をどの程度避けたいと思うかは患者によって大きく異なることがある
指導のポイント:
まず、指導医が自分自身の判断のプロセスを説明しその中でどのように情報を活用しているかを示すことから始める。その中で、どのように情報を入手し評価しているかを確認する。指導医にとって、この手順を行うと最初は困難を感じる。その一方で自分の分野の具体的な事例で指導することができ利点が多い。そこで、具体的な患者からの情報を引き出すこつや、その医療施設でのルールなどの解説を加えると、研修医にとってすぐ役立つと思える指導になる。
医療情報の検索については、その医療機関で利用可能なものに焦点を絞る。たとえば、図書室や病棟、外来などに備えられている教科書やマニュアルなども情報の一つとして紹介する。さらに、有用性が高く院内で広く用いられている本や雑誌などを紹介することも重要である。その医療施設で相談できる専門家や専門部署を紹介するのも研修医にとって大きな助けになる。
また、図書室やコンピュータ・インターネットのシステムを活用する方法を教えたり、図書室の司書などの専門職員に相談するように勧めたりすることで、現場で利用可能な情報源の入手法を身につけられるようにする。図書室の専門職員の協力が得られれば、データベースの利用法や検索方法などの細かな指導をする負担を分担することができる。
医療情報の例として医学論文を紹介する場合には、今は評価が定まっている治療法の有効性を確かめたランダム化比較試験やシステマティックレビュー、有用性が知られている検査の感度特異度を調べた横断研究、明確な診断が可能で研修医の担当となりうる疾患を対照にしたコホート研究、これらの情報がまとめられた良質なレビューやガイドラインなど、読む価値の高いものを選ぶとよい。研修医が時間をかけて読んで価値があったと思えるものにすることが重要となる。さらに、題材を指導医が自分の専門分野にしておくと、指導医自らの経験や技術なども紹介できるのでよりその情報の活用法が理解しやすくなる。

参考:
医学情報検索
補足:
情報が必要と思えるポイント